YouTubeの転載で稼ぐ事は違法なのか?

YouTubeの転載で稼ぐ事は違法なのか?

YouTubeの転載が話題になる事が多いです。

特に2021年の初めから日本で急速に拡大した「切り抜き動画」は大きな話題となり、元の投稿者の許可を得る事なく転載して収益を得る人が多発する等、物議を醸しています。

YouTubeの転載で稼ぐ事はそもそも違法なのでしょうか?

今回はYouTubeの転載で稼ぐ事の是非から、動画コンテンツの著作権や最近話題の切り抜き動画の話、また自身に投稿するネタがない人はどうすれば良いのかまで幅広く解説していきます。

本記事のポイント

  • YouTubeの転載で稼ぐのは違法
  • 他の人の動画を転載したい場合には、必ず承諾を得る必要がある
  • 無断転載された動画は発見出来る場合がある
  • 自身に投稿するネタがない人におすすめなのがニッチチャンネル
  • キーワードを狙うと開設初期でも上位表示が狙える
  • キーワードリサーチにおすすめのツールが「YT Rival Finder」

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YouTubeの転載で稼ぐ事は違法なのか

YouTubeやインスタグラムのライブ配信等の長尺の動画を短く編集して投稿する「切り抜き動画」で稼ぐ人が増加していますが、転載で稼ぐ事はそもそも合法なのでしょうか。

結論、YouTubeの転載で稼ぐ事は違法です。(ただし、後でも解説しますが元の動画投稿者の承諾を得られている場合は異なります)

無断転載をしている多くの場合は、著作権保有者から動画の削除要請が届いて終了ですが、多額の収益を得ていた場合などひどい時には刑事罰に問われる事も。

実際、後で紹介しますが無断転載で書類送検されたケースや逮捕された事例は多数あります。

まずはYouTubeの著作権周りに関してみていきましょう。

YouTube動画の著作権はコンテンツ作成者にある

YouTubeに投稿されたオリジナル動画の著作権は、コンテンツ作成者にあります。

また著作権は動画作成者の届け出を必要としなくても自動的に発生します。つまり動画を作成した時点で著作物となるのです。

企画の立案から撮影、編集まで全てを自分1人で行っている場合は分かりやすいですが、作業を外注している場合はどうなのでしょうか。

動画コンテンツの著作権に関しては、著作物の「全体的創作」に関わった人に付与されるとされています。プロデューサーや〇〇監督と呼ばれる人達ですね。

なのでYouTubeに投稿する動画の編集のみを行なった人には、基本的に著作権が付与される事はありません。

YouTubeの著作物利用に関する記載

YouTubeの著作物利用に関する記載を見てみましょう。

どのような種類の作品が著作権の対象となりますか?

  • 音声と映像の作品(テレビ番組、映画、オンライン動画など)
  • サウンド レコーディングおよび楽曲
  • 執筆された作品(講義集、記事、書籍、楽譜など)
  • 視覚的作品(絵画、ポスター、広告など)
  • ビデオゲーム、コンピュータ ソフトウェア
  • 演劇作品(劇、ミュージカルなど)

アイデア、事実、プロセスは著作権の対象ではありません。著作権法によると、著作権保護の対象となるには、作品に創作性があり、かつ作品が有形媒体に記録されている必要があります。名称やタイトルそのものは著作権保護の対象ではありません。

YouTubeヘルプより引用

楽曲等は当然ながら著作権の対象となるので、よくある「踊ってみた動画」は基本的には違反行為。(収益化しているか否かに関係なく、YouTubeに投稿している時点で違法です)

ただ余程酷い扱い方をされていない限り、アーティストも曲の知名度向上など一定のメリットがあるので、訴える事なく現在でも多くの動画がYouTube上に残っているのではないでしょうか。

また記載してある通り、他の人のアイデアを真似して動画を作成する事は、著作権違反にはなりません。

実際、YouTubeには同じようなアイデアの動画を多くの人が投稿していますよね。

youtube-same idea-content

現在の日本の法律にはアイデアを保護するものが存在しないので、どこまで真似るのがOKなのかはグレーゾーンですが、以下のような場合は著作権侵害となる可能性があります。

  • セリフまで詳細に真似していた場合
  • テレビ番組のセット等を詳細に真似ている場合

実際に弁護士の方に確認してみました。

Q1.例えば上記画像の左の「プロ格闘家が街の喧嘩自慢にスパーリングを申し込んだらやるのか」という企画は、動画のアイデアが同じでタイトルも完全一致しています。(この動画の場合は両者に面識があるので、承諾を得ているとは思いますが)仮に承諾無しでタイトル・企画の内容が同じ動画を投稿したら、著作権侵害に該当するのでしょうか?

A.街の喧嘩自慢とプロ格闘家がスパーリングするという企画が同じであっても、具体的な映像が異なっていれば著作権の侵害にはならないということになろうかと思われます。

タイトル・企画のアイデアが同じでも具体的な映像が異なると、著作権侵害には当たらない可能性が高いそうです。

Q2.テレビ番組、例えば「しゃべくり007」をセットまで忠実に再現して動画を投稿するのは著作権侵害に該当するでしょうか?

A.ご質問の「しゃべくり007」はおそらく著作物には該当しないと思われますので、それを模倣しても著作権の侵害にはならないものと思われます。セットにつきましては、美術作品など創作性があるようなものを模倣しますと、著作権と抵触する可能性が出てくるものと思われます。また、そっくりでなくても、少し改変したようなものについても、著作権のうちの翻案権と抵触する可能性がでてくるものと思われます。したがいまして、創作性の有無という明確に判断しにくいものが判断要素となりますので、著作権侵害か否かは判然としないという側面があることは否めません。

テレビ番組の企画を模倣するのは著作権の侵害にはならない可能性が高いものの、創作性があるセットを模倣したり少し改変したものを使用すると著作権に抵触する可能性が出てくるそうです。ただ創作性の有無は明確に判断しにくいので、著作権に関しては少し曖昧な部分を含むという回答でした。

 

Hikakinさんは、動画の概要欄に参考にしたチャンネルを記載していました。

youtube-hikakin-reference content

このように同じようなアイデアの動画を投稿する際には、概要欄に参考にしたものを書いておくと、相手から訴えられる可能性も低いのでおすすめです。

無断転載で逮捕された事例

YouTubeの著作権に関する情報を解説してきましたが、実際に過去に無断転載で逮捕された事例は多数あります。

2021年6月には、映画の映像を10分程度に編集してまとめた「ファスト映画」で、初の逮捕者が。

ファスト映画は合計再生回数が8000万回再生を超えるくらい人気のチャンネルもありましたが、著作権的にどうなんだとずっと物議を醸していました。

しかし初の逮捕者が出た事をきっかけに、多くのチャンネルが閉じられています。

2018年にはテレビのバラエティー番組をYouTubeに無断転載し収益を得ていたとして、高校生5人が書類送検される事例も発生しています。

テレビ番組をYouTubeに投稿するのは現在も横行しているようです。

youtube-comedy-unauthorized reproduction

ちなみにYouTubeに無断転載されたバラエティー番組等を視聴する事は問題にはなりません。(ただしダウンロードするのは違法です。)

テレビ番組の無断転載に関しては「放送コンテンツ適正流通推進連絡会」のサイトでYouTubeの情報提供が出来るフォームが用意されています。

youtube-tv program-Illegal report

 

上記機関からの通報ですぐにアカウントが削除されたケースも多くある様です。

ファスト映画の逮捕はかなり話題になったので、YouTubeへの無断転載への対応は今後どんどん厳しくなっていくと予想されます。

他の動画を転載したい場合は?

他の動画をYouTubeに転載したい場合には、著作者の権利者に承諾を得る方法以外ありません。

著作権で保護されている素材を動画で使用したい場合、通常はまず使用許可を得る必要があります。YouTube からこうした許可を与えることはできず、許可できる当事者を探す手助けもできません。ご自身で調査したうえで、弁護士のサポートを受けるかまたはご自身でこの手続きを進める必要があります。

YouTubeヘルプより引用

YouTubeにも上記のように記載されています。

仮に動画の説明欄に引用元として記述していても、著作権者から許可を貰っていなければ著作権違反になります。

はじめしゃちょーさんの踊ってみた動画では、音源提供元が記載されています。

youtube-music credit

このように著作権元から許可を得られている場合は使用しても良いですが、許可を得られていないのに上記のような記載をして音源を使用すると違反に。

JOYSOUNDのホームページを見ると、音源を使用したい人向けの欄が用意されていました。

youtube-joysound permission

YouTubeに投稿する動画内でカラオケ音源を使用したい場合には、上記のような場所から著作権者の許可を得るのが必須です。

また今話題の「切り抜き動画」も収益を得ているか否かに関わらず、元の動画投稿者の許可を得て運営していない限りは違法行為。

切り抜かれる側のチャンネルで「収益化の条件を満たしたら連絡して下さい」と言っているケースが多いですが、そもそも許諾無しで切り抜き動画を投稿する事自体が違法なので注意が注意しましょう。

YouTubeで無断転載されているか確認する方法

自身の動画と完全一致したコンテンツが投稿されている場合には、YouTube Studioの「著作権」の欄から確認する事が出来ます。

youtube studio-copyright

「著作権」の欄に表示された動画に関して、削除依頼をリクエスト出来るので、簡単に特定してコンテンツを消す事が可能です。

また全クリエイターに当てはまる話ではありませんが、YouTubeでは無断転載された動画を確認して著作権者が管理出来る方法があります。

鍵となるのが「Content ID」。

著作権者は Content ID というシステムを利用することで、YouTube 上の自分のコンテンツを簡単に特定して管理できます。YouTube にアップロードされた動画は、コンテンツ所有者が提出したファイルのデータベースと照合され、スキャンされます。

著作権者は、動画に含まれるコンテンツと自分の作品が一致した場合にどのような対処をするか決定できます。一致が検出されると、該当の動画に対して Content ID の申し立てが行われます。

YouTubeヘルプより引用

Content IDを利用するには、著作権者がYouTubeに投稿したコンテンツの独占的な権利を有している必要があります。

例えばゲーム実況の動画は作品の著作権をゲーム会社が持っているので、投稿者が独占的な権利を有している事にはなりません。また著作権フリーの素材を使用していても、素材作成者に著作権があるのでContent ID利用の対象外に。

なのでBGM無しでのトーク動画等、限られたコンテンツでしか利用できないと言えます。

Conten IDを利用すると、著作権者は自身の転載を見つけた際に次の選択を取れるとされています。

  • 閲覧できないよう動画全体をブロックする
  • 動画に広告を掲載して動画を収益化し、場合によってはアップロードしたユーザーと収益を分配する
  • その動画の再生に関する統計情報を追跡する
YouTubeヘルプより引用

切り抜き動画で注目を集めているひろゆきさんは、2つ目の方法を使って投稿者と収益を分配しているそうです。

YouTubeで転載された場合の対処法

仮に自分が著作権を持つ動画がYouTubeに無断転載されてしまった場合には、どうすれば良いのでしょうか。

YouTubeには各動画に「報告」欄が設けられており、著作権違反している動画をユーチューブ側に知らせれるようになっています。

youtube-copyright report

上記画像の通り、「保存」の横の「…」から「報告を選択。

youtube-copyright violation inform

続く画面で「権利の侵害」の中から「著作権侵害の問題」を選択します。遷移後のページで自身の情報を入力して完了です。

動画の削除申請は上記手順で基本的に著作権保持者もしくは権利所有者から代理権を許諾された人しか行えません。

ただ著作権者ではない第三者でも、明らかに無断転載している動画を見つけたらYouTubeの運営に通報する事が可能。

手順は先程と同様「報告」から「スパムまたは誤解を招く内容」の中の「詐欺または不正行為」を選択するだけ。

youtube-reprint content-inform

第三者から通報する場合は、匿名で行えます。

先程紹介した著作権者から報告する方法ほどの強い効力はありませんが、運営に知らせる事で不正を行うチャンネルに監視の目が向く事は間違いありません。

また参考程度にですが、第三者からの通報でも「公認報告者」に認定されると、行った報告が優先的に取り扱われるそうです。

公認報告者への参加資格は明確に定められている訳ではありませんが、YouTubeのポリシーに反する動画や無断転載を積極的に報告していると招待される可能性があります。

多数の動画を正確に報告しているユーザーには、公認報告者プログラムに参加していただくよう YouTube から招待します。

YouTubeヘルプより引用

このような制度が設けられている影響で、様々な無断転載動画を報告している人は一定数いると思われます。なので無断転載動画で稼ぐ事は不可能に近いと言えます。(そもそも違法ですが)

無断転載を行うくらいならニッチなチャンネルを開設しよう

無断転載で稼ぐ事を試みるほとんどの理由は「YouTubeチャンネルをやりたいものの、自身に投稿するネタがない」だと思います。

切り抜き動画も同様の理由ですよね。

自身にネタがないから、他の人のコンテンツを使ってチャンネルを運営しているのです。

しかし無断転載は当然NGですし、許諾を貰っての切り抜き動画もいつ規制が入り淘汰されるか分かりません。

そこでおすすめなのが、ニッチなチャンネルを開設する事。

かなりニッチなチャンネルでも、戦略をしっかり考え込むと収益化の条件は達成出来ます。戦略を考える上で大事なのが、キーワードを狙ってコンテンツを作成する事。

例えば、以下のチャンネルをご覧ください。

youtube-recommend nich channnel

料理動画の中でもタンパク質が多く脂質の少ない筋肉の成長に良い料理、更に作り置き出来る弁当に絞ってコンテンツを作っています。

筋肉に良い弁当を作る人は、筋トレをしている人の中でも一部なのでかなりニッチなチャンネルだと言えます。

しかし動画をまだ約40本しか投稿していないにも関わらず、最も視聴されたコンテンツは70万回再生超え、チャンネル登録者数は4.89万人もいます。

要因としてYouTube内で上位表示している事が大きいと考えています。

「筋肉弁当」と検索してみると、上位3つの動画は全て上記チャンネルのもの。

youtube-muscle bento-keyword

YouTube内での「筋肉弁当」というキーワードの月間インプレッション数を調べてみると2,400もあったので、多くの人が検索から上記チャンネルに流入する可能性が非常に高い可能性があります。

このような上位表示を狙えるキーワードのリサーチは自力でも行えますが、インプレッション数や関連動画の本数・競合の動画の概要など見ないといけない要素が多いので、候補のキーワードに対して全て調べていると時間がいくらあっても足りません。

そこでおすすめなのが「YT Rival Finder」というツール。

「YT Rival Finder」を使うと、キーワード毎に上位表示されている動画の情報や、攻略する難易度を一括で把握する事が出来ます。

yt rival finder-muscle bento

特にニッチなチャンネルは検索から流入するケースが多いので、どんなキーワードを狙ってコンテンツを作成すれば良いかを分析出来るYT Rival Finderは相性抜群のツールです。

どんなニッチな趣味や特技でも構いません。

自身の趣味や特技で上位表示出来そうなキーワードがあるか探して、チャンネルを開設してみましょう。

YT Rival Finderを使って再生回数が伸びるキーワードを探す

 

【まとめ】無断転載は違法!逮捕される可能性もあるので絶対NG

YouTubeの無断転載は違法である上に、ひどい場合には逮捕される可能性もあるので絶対行ってはいけません。

ずっと野放しだったファスト映画で初の逮捕者が出た影響で、今後無断転載への対応は更に厳しくなっていくと予想されます。

仮の自分が投稿する動画で他の人のコンテンツを使用する際には、必ず承諾を得るようにしましょう。

また最近は切り抜き動画が流行っていますが、いつ規制が入ってチャンネル運営が出来なくなるかは分かりません。

そんな自分に投稿するネタがない人はニッチなチャンネルを作る事がおすすめ。「YT Rival Finder」を使って戦略的にキーワードを狙うと開設初期でも上位表示を狙えるので是非挑戦してみて下さい。

YT Rival Finderを使って再生回数が伸びるキーワードを探す

記事の監修

ジン

YouTube運営のノウハウやニュース、コミュニティ設計について.│漫画動画ch(事業譲渡済),Vtuberを使ったアフィ(7桁)など多数.│メルマガでは各種SNSの運営手法やTwitterで書ききれない話を発信中(毎週土曜,19:00).│再生回数が上昇するYouTubeツール→https://tube-box.com

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